借金・ローン 知って得する数字のカラクリ大和田 英明
技術評論社 刊
発売日 2005-11-02
価格:¥1,344(税込)
発送可能時期:通常24時間以内に発送
日銀のゼロ金利はようやく解除になりましたが、日本の金利は実質ゼロのままです。その政策の下で、我々はずっとスズメの涙のような利子で銀行にお金を貸していますが、そのお金は回り回って2割を超える金利であなたの隣人に貸し出されています。
消費者金融のお世話になる人のほとんどは十分な返済余力のない人です。だから高い金利も呑んでしまいます。その彼らは少しでも返済が延びると、高い利子がボディブローのように効いてきます。一歩間違えば、多重債務を抱えて厳しい取り立てに怯えることになります。
多重債務で生きる希望と勇気を失った人々が最後に自殺を選ぶケースも少なくないのです。2004年に負債により自殺した人は4000人を超えていたという数字もあります。自殺までしなくても、家庭を壊し、健康を害し、気力を失う人数はこれの何倍ではなく、何十倍にも上るでしょう。
さすがに無視できないほど大きな社会問題になったため、政府はようやく重い腰をあげました。過去にできた2つの法律で決められた異なる上限金利を一本化しようとしています。低い方の「利息制限法」の上限金利は年15−20%、高い方の「出資法」の上限金利は年 29.2%です。
当の貸金業者側もこれに対して前向きでした。ただし、彼らは低い方の金利ではなく、高い方の金利に一本化すべきだと主張していたのです。それもそうです。100万円を貸して年間で15−20万円増えるビジネスよりも年間29万円も増えるビジネスの方がより美味しいからです。
すったもんだの末、利息制限法の上限を超えるいわゆるグレーゾーン金利は段階的に廃止されることに決まりました。それでも、20.0%の金利で3年間貸せば100万円は160万円になって戻ってきます。貸した金額の半分が貸し倒れになってもまだ儲かる計算です。「借りた金を返す」モラルの高い日本では実際に貸し倒れになった金額は1割にも届かないといわれています。
だから消費者金融は貸せば貸すほど儲かるビジネスとして近年脚光を浴びました。プライドの高いはずの都市銀行から技術を売り物にしてきたはずのITベンチャーまでもこぞって参入してきました。
その結果、当然過剰勧誘とそれに伴う過剰回収が増えます。お金が余っているといわれているのにそのお金が多くの人々を追い込み、人生を台無しにする現実はなんともいえない皮肉です。
しかし、もともと消費者金融も立派な合法的ビジネスです。銀行は国の規制にあぐらをかき、審査能力も回収能力も磨かずに100%回収できそうな貸し出しばかりをやってきました。小額で回収困難な消費者金融に手を出さなくても充分に簡単に儲かっていました。
貸金業規制法の改正案をまとめた自民党の合同会議(9月15日、東京・永田町)
銀行や信用金庫に相手にしてもらえない中小企業の社長や個人事業主が、審査簡単、無担保の消費者金融に助けられたこともあるでしょう。病気や怪我で親戚も頼りにできない個人にとって消費者金融が最後の駆け込み寺になることもあります。消費者金融には功もありました。
しかし、多くの多重債務者を作り出し、多くの人々の家庭と人生を崩壊に追い込む現実に消費者金融が大きな役割を果たしているのも事実です。
借りる方が悪いという議論は乱暴だと思います。麻薬を止めるにはまず売る方を取り締まるのは常識です。「利子を高くするのは、担保なしで誰でも借りやすくするためです」という理論は蟻地獄の理論です。「借りやすいが、返し難い」ということを自ら言っているのです。
我々人間は弱い動物です。強い人間も弱い時があります。目先の快楽や一時的な衝動のためにミスジャッジすることは誰にもあります。そのミスが人生そのものを再起不能なものにしてしまうビジネスは社会貢献に程遠いと思います。
さらに詳しい情報はコチラ≫この記事は2006/10/7に作成しました。